栃木県足利市生まれ。
幼少期から13年間、宮沢賢治ものがたり文化の会(人体交響劇団)に参加したことから、
宮沢賢治の世界を身体やことばを通して想像する、表現する遊びを身につけ、特に宇宙や鉱物に興味を持つ。
学生時代に文化刺繍(ニードル)と出会ってからは,絵を描くように刺繍が出来る面白さを知り、
自ら「 painting stitch 」とよんで制作している。記憶や想い出の蓄積が、今の自分を生かし、
未来へ繋げるという想いと感覚で、日々祈りを込めて縫っている。
2010年に女子美術大学のデザイン学科を卒業してからは、
日本の伝統芸能である長唄・三味線のお稽古にも参加中。
私にとって、
作品をつくればつくるほど、自己と向き合い、他と向き合う。
自己と世界との関わりについて、つくる事で思考していく。
私の作品には、キャンバスに「 刺繍 」を ほどこしたものが中心だ。
“ 縫う ” という行為。
なにかを繋げようとするような。
自分と他、自分と、自分。
私という存在も、他との繋がりの中で出来ていて、
それはまた過去から未来へと繋がる。
記憶を積み重ねる。
あらゆる想い、感情のチクセキ。キロクの物質化。
それは色と形に置き換えられ、確かな事での痕跡では表されていない。
しかし、どれも生と共にあり、呼吸に合わせて重ねられたもの。
自分の指から離れ、定着し、隙間を埋めていく。
” 想い ” を とどめる。
キャンバスに針を刺す行為は、一見すると攻撃的にも感じられるが、
筆で描いたもの、画面を “ なでる ” よりも、自分の行為が認識しやすくなる。
針を指すときに、生地は手の重みで沈み、かすかに “ 音 ” もでる。
それはまるで、行為に対してリアクションをかえすように。
“ つくっている ” と 実感する。
キャンバスに表れる造形は、わたしのチクセキ。結晶。
感情の最先端。
透明に近づける。
祈りとともに。